「新馬場通り」と聞いて「あっ、あそこね」とわかるかたはどのくらいいるでしょうか?
ここ10年、佐賀のまちなかには、ほかの地域から来た人、特に若者も多く、佐賀の新しい歴史も日々、綴られています。しかしながら、そうした新しい歴史を綴る世代は、過去の歴史にふれる機会が少ないのが現状です。過去の歴史の上に新しい歴史が刻まれる、そうした環境や機会をつくることが必要だと感じています。
そこで「新馬場通り」の歴史を、これまでに残された活字・写真とともに過去を知る、歴史を知るひとの声をきちんと記録していく「新馬場通りアーカイブプロジェクト」をたちあげました。このプロジェクトには、若い世代にも参加してもらい、3年計画でアーカイブ化し、歴史を繋いでいきたいと考えています。
2023年度は、龍谷高校生徒会のメンバーが取材し、その成果をホームページに公開しています。
新馬場通りは、鍋島藩祖・鍋島直茂を祀った松原神社の参道で、門前町として栄えた商業通りでした。その門前町である新馬場通りは、佐賀市最大の娯楽の集積地であり、映画館、芝居小屋、料亭も集積、多くのひとでにぎわっていました。また、明治中期から昭和初期までは米穀取引所を核に旅館、料亭、銀行が集まる街でもあり、佐賀市の経済の中心として、県外の商人などが情報を持ち寄り交換する場でもありました。しかし、高度成長後の娯楽の多様化と消費行動の変化により、新馬場通りの店舗形態の変化や移転、廃業により通りは寂れていき、往年の繁栄を創造することも難しい状況になりました。
佐賀ん町屋を甦らす会は、この新馬場通りを、かつてのにぎやかな通りにしたい、特に、昭和世代に子どもの記憶に残る「日峯さん」のような地域の文化や歴史を後世に伝えていきたいと活動しています。